寄稿者:山内優菜、山住龍成(崇徳学園インターアクトクラブ元会員)、長藤莉奈(崇徳学園インターアクトクラブ会員)
世界にはさまざまな理由で学校に行けなかったり、文字が読めなかったりする子どもがいます。その子どもたちの教育に関して、私たちに何かできることはないかと日ごろから考えていました。
2022年5月、ケニアのスラム街にいる子どもたちの就学の状況・識字率の低さを知り、そのような子どもたちでも文字を読める喜びを知ってほしいという気持ちから、「高校生の手作り絵本をケニアの子どもたちに届ける」プロジェクトを始めました。右も左も分からない状態でスタートしましたが、ボランティアに携わっている現地の方と毎週リモート会議で打ち合わせをして、2023年1月にケニアの子どもたちに絵本を届けることができました。
プロジェクトの対象は、言語についての学習を始めたばかりのケニアのスラム街の子どもたちです。絵本の内容は、主人公の女の子が、アルファベットのキャラクターに動物の名前を教えてもらうというストーリーです。また、ケニアでは英語とスワヒリ語が公用語のため、どちらも入れた二言語の絵本を作成しました。自分だけの絵本を持つという実感を味わってほしいというこだわりから、持ち運びのしやすい手のひらサイズ(B6版横開き)にしました。絵は本校の漫画研究部にお願いしました。
持続可能性やケニアの産業への貢献も考慮し、出来上がった絵本のデータを現地の印刷会社に送って製本を依頼するため、一般社団法人A-GOAL副代表でケニア在住の福居恭平さんにご協力いただきました。現地の複数のコミュニティスクール(Kibera Seven Kids, Hope for Kibera Agape, Magoso Schoolなど)やA-GOALが現地で運営するサッカーリーグに参加する子どもたち(約70チーム・900名)、合計3000名に届けていただきました。
届ける様子をケニアからリモートでつないで見ることができました。スラム街の子どもたちに絵本を渡してもらった時、自分たちが作った絵本が実際にケニアにあることが信じれず、実感がわきませんでした。子どもたちが絵本を読んでその生き物について話しているのを見たときに初めて実感がわき、達成感を感じました。
このプロジェクトは後輩たちが引き継ぎ、今年度に第2弾を行いました。第2弾では、手作り絵本のキャラクターをそのまま用いながら、陸の生き物から海の生き物に変えて制作しました。ケニアのスラム街の子どもたちは、旅行をする余裕がなく、海を見たことがなかったり、住んでいる国の環境についてよく知らないといった事情をお聞きしたからです。
今後は、ゴミ問題や性教育など、現地での課題を解決していくことを視野に入れながら、ケニアの子どもたちを継続的に支援していきたいと考えています。
プロジェクトを通じた学び
この活動では、ケニアの文化や言語など、現地の子どもの状況に合わせた絵本を作ることで、異文化理解の重要性やグローバルな視野を持つことの必要性を学びました。また、ただ社会に貢献するだけでなく、自らが世界の一員として積極的に行動することの意義や、小さな行動が大きな変化を生む力になることを理解できたと思います。
一度だけの支援に終わらず、先輩から後輩へとプロジェクトが引き継がれ、2度目の支援を実現できたことをとても嬉しく思います。どの生き物を取り上げるかについてなど、部員全員がアイデアを出し合い、活発な議論を交わしました。
また、多くの方々に支えていただける環境がどれほど貴重であるかを実感しています。A-Goalの福居さん、スポンサークラブである広島安佐ロータリークラブの皆さま、そして先生方をはじめ、たくさんの方の協力があったからこそ、プロジェクトを達成できたと思います。これからも、後輩たちが同じような活動を続けることで、より多くの人が異文化理解の重要性を学び、グローバルな視野を広げることができるよう願っています。