第345回例会
Rotary E-club of HYOGO
2021年12月20日開会
12月は疾病予防と治療月間です
はじめの点鐘
ロータリーソング
SAA: 今週のロータリーソングは、「手に手つないで」です。元気よく歌いましょう。
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♪ 手に手つないでOpen or Close
一、手に手つないでつくる友の輪
輪に輪つないでつくる友垣
手に手 輪に輪
ひろがれ まわれ 一つの心に
おゝロータリアン おゝロータリアン
ニ、手に手つないでつくる友の輪
輪に輪つないでつくる友垣
手に手 輪に輪
ひろがれ まわれ世界と共に
おゝロータリアン おゝロータリアン
会長の時間
2021―2022 HYOGOロータリーEクラブ 会長 堤万佐子
みなさまこんにちは、12月は「疾病予防と治療月間」です。会長の時間はほとんど医療関係のお話になっています。HYOGOロータリーEクラブ会員平均年齢は48歳です。まだ他のクラブに比較すると若いというのがEクラブの特徴の1つでもあります。今日の会長の時間は職場でリハビリを担当している中で、認知症を併発している例についてかかせていただきます。
認知症と一概にいいましても原因が違えば症状もことなります。脳血管疾患性の認知症 老人性認知症 アルツハイマー型認知症 レビー小体型認知症が有名です。私が今担当している患者様はレビー小体型認知症です。レビー小体型認知症の特徴は幻覚や幻聴があると言われており、問題行動例えば大きな声で叫ぶ、介護拒否などの行動が見られることが多いのです。私が担当していた患者様は口頭での指示理解ができなくて、別の患者様のお部屋に入ったり、居室をトイレと間違えるなどの行動が見られました。理学療法士として、これらの行動を認知症だからと決めて、諦めることはよくないと思っています。できることを探して、動作につなげていくことこそリハビリテーションであると、かっこつけているわけではありませんが思います。
その方は難聴と視野が狭いことが後にわかったので、問いかける方法を変えました。高齢者にも通じるところではありますが、人間は老いると視野が狭くなります。左右180度の視野はありません。認知症になると前方60度から90度程度です。上部と下部は視野に入りません。正中位でお話もしくは少し下からお話をするほうがいいとされています。難聴の場合は大きな声でゆっくり、できるだけ短文で問いかけるといいとされています。女性の声は高音域ですので聞き取りにくく、意識的に低めお話をする必要があると思います。
認知症といっても現れてくる症状は十人十色です。担当していた患者様は両手でおなかをポコポコたたくのです。恰幅のいい方でしたので、なんだか愛嬌がありいつも間にか病棟職員の人気者になっていました。きっとお元気なときは陽気なお父さんだったのではないかと推察しています。認知症になったからこそその方らしさがでてくることがあるように感じます。ご自宅で介護されるにはかなり重度の介護力が必要であったとおもうのですが、ご入院されるまで自宅でご生活されご家族様に支えられていらっしゃいました。ご家庭でもとても愛されていらっしゃったのだと今でも思っています。そしてご家族だけではなくその回りの方々にも支えられていたと思います
その患者様は2人部屋にいらっしゃいました。2人部屋といってもカーテン1枚で仕切られベッドとベッドの間が50cm程度しかあいていないので、声や動作が丸わかりです。車いすを入れるとカーテンにあたってしまい、お隣の方にご迷惑をかけていました。その方はいつも「いいですよ、気にしないでください」と少し席をはずされていました。認知症の患者様が騒がしくしているときも何も言わずに席を外されていました。お部屋の料金もし払ってもらっているのに申し訳ない話です。日本には「陰徳の美」があるということをロータリー先輩からで教えていただきました。今の時代には合わなくなってきているのかもしれませんが、私は日本人らしく謙虚な姿勢は素晴らしいと思っています。患者様やその回りの方々にも支えられながらまた明日も頑張ろうと思います。
幹事報告
グローバル補助金(VTT)プロジェクト:カンボジア病理医育成支援プロジェクト(神戸東RC提唱)へのご協力のお願い
卓 話
脱炭素と日本の技術
川野 竜二
みなさまこんにちは、2021年も残すところあと少しとなりました。
今回の卓話は「脱炭素と日本の技術」です。
最近耳にすることが多くなった「脱炭素」、職業柄もありこのテーマについて情報を得る機会がありましたので、紹介させていただきたいと思います。
【脱炭素に対する関心の高まりと背景】
2021年1月1日、日経新聞1面の見出しは「脱炭素の主役 世界競う」でした。
また「ESG」「SDGs」といったキーワードもこの1年で周知の言葉になったのではないでしょうか。
先日、2021年ノーベル物理学賞を米プリンストン大学上席研究員である真鍋淑郎氏が受賞しました。
真鍋氏は地球温暖化研究の先駆け的な存在で、大気中の二酸化炭素濃度が気候に与える影響を初めて明らかにしたことで知られており、今回の受賞は世界的な関心の高まりが伺えます。
世界経済フォーラム、通称ダボス会議で言及されている「世界が直面する最も重大なリスク」の2021年データでも、上位5位のうち環境関連問題が4つを占めています。
・1位/異常気象(環境問題)
・2位/気候変動への適応•対応の失敗(環境問題)
・3位/人為的な環境災害(環境問題)
・4位/感染症(社会問題)
・5位/生物多様性の喪失(環境問題)
これらの問題には地球温暖化が深く関わっており、解決に向けた取り組みは全人類の課題と言えます。
【目標実現に向けた動き】
2021年は脱炭素元年とも呼ばれており、本年はついに二酸化炭素の二大排出国である米国と中国も脱炭素に向けて動き出しました。
日本も2030年までに2013年度比で排出量46%削減、2050年までに実質ゼロを目指すことを宣言しました。
それと同時に2050年を目安に全発電量の50~60%を再生可能エネルギーで賄うなど、エネルギーの大転換を目標としています。
脱炭素社会実現には世界で約1.35京円の投資額が必要とも言われ、世界中の企業が次世代の技術開発に乗り出しています。
脱炭素関連企業は欧米がイメージされがちですが、日本の企業も負けてはいないことをご存知でしょうか?
実は二酸化炭素排出技術の特許出願数では、日本は世界トップとなっています。(2位は米国、3位はドイツ)
さらに企業の気候変動への取組み、影響に関する情報を開示する枠組みである「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」では、
賛同機関が世界2627機関のうち日本は542機関で世界第1位となっています。
【脱炭素】
そもそも「脱炭素」とは何なのでしょうか。
脱炭素とは「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体としてゼロにすること」を意味します。
二酸化炭素の「排出量」を抑制することに加え、「吸収量」を増やしていくことも欠かせません。
現状日本の脱炭素技術の先行分野としては、水素や蓄電池などが挙げられます。
【これからの技術:CCUS(回収•再利用技術)】
CCUSとは、二酸化炭素回収•利用•貯留技術の総称です。
二酸化炭素は製鉄や化学などの産業部門からも多く排出されており、生産プロセスから必然的に発生してしまうため、生産方法の抜本的な変化を起こさない限り脱炭素化は不可能です。
このような背景の中で、二酸化炭素の回収技術は急務であり、また回収貯留量にも限界があることから、今後は二酸化炭素を原料にした製品への利用が期待されます。
現在国内で開発されている、世界初の二酸化炭素活用技術と次世代の素材をいくつか挙げてみたいと思います。
【二酸化炭素の活用技術】
1:プラスチック
日本では、二酸化炭素を原料とする「ポリカーボネート」樹脂製造プロセスを世界で初めて確立しています。
ポリカーボネートとは、透明度・耐衝撃性が高いプラスチックで、スマートフォンや家電の筐体、自動車のヘッドライトのカバー、新幹線や航空機の窓などに幅広く活用され
透明度•耐衝撃性が高いことから、ガラスや金属の代替品として利用拡大が見込まれています。
有害物質を使用せず、従来の製法より少量の水使用で済むため、幅広い環境問題解決の貢献が期待できます。
2:コンクリート
日本では、二酸化炭素排出量をゼロ以下にする「CO2-SUICOM」というコンクリートを開発しました。
コンクリートは原料の石灰石を脱炭酸する際、多くの二酸化炭素を排出します。
セメント使用量を減らすことで二酸化炭素排出量を削減でき、さらに硬化時に二酸化炭素を吸収できるのがCO2-SUICOMです。
排捨低減効果と吸収効果で二酸化炭素排出量をマイナスにできる、世界初の「カーボンネガティブコンクリート」と呼ばれています。
国内一部ではすでに道路の境界ブロックなどの土木・建築分野で活用が始まっています。
【次世代の素材】
1:セルロースナノファイバー
セルロースは植物の主成分の一つで、ナノレベルに小さくした繊維状のものをセルロースナノファイバーといい、日本初の新素材です。
鋼鉄の5分の1の軽さで7〜8倍の強度があり、保水性の高さから食品•化粧品、自動車や建築材料などの活用に期待されています。
2:ペロブスカイト型太陽電池
「塗る太陽電池」ペロブスカイト型太陽電池は日本初の技術です。
フィルムを基盤として、その上に光を電気に変換する結晶体構造を持つペロブスカイト材料を塗って製造します。
一般的な太陽電池と比べても変換効率も劣らず、軽量で折り曲げることも可能なので、強度の低い屋根やビルの壁面などに設置が可能になるとされています。
以上、人類の永遠のテーマでもある「環境問題」にむけた「脱炭素」についての現状をほんの一部ですが紹介させていただきました。
おわりの点鐘
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