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MAKE UP

第432回例会

Rotary E-club of HYOGO

2023年10月30日開会

10月は地域社会の経済発展月間です

はじめの点鐘

はじめの点鐘

ロータリーソング

SAA: 今週のロータリーソングは、「我らの生業」です。元気よく歌いましょう。

  • ♪ 我らの生業Open or Close

    一、我等の生業さまざまなれど
    集いて図る心は一つ
    求むるところは平和親睦
    力むるところは向上奉仕
    おゝロータリアン 我等の集い
    二、奉仕に集える我等は望む
    正しき道に果をとるを
    人の世挙りて光を浴みつ
    力を協せて争忌むを
    おゝロータリアン 我等の集い

例会

会長の時間

みなさま、一週間元気でお過ごしでしたでしょうか?

例年より暑さの厳しかった夏も過ぎて実りの秋を迎え「食欲の秋」到来!!

鍋料理や、秋のスイーツも
しっかり楽しめる季節になって参りました。

つい先日篠山でいただいた
「ぼたん鍋」の強烈な美味さ!最高でした(笑)

「そんなタイミングでこの話題ですか~?」
といったツッコミも聞こえて来そうですが、

「2050年の食料問題」

耳にされたことはありますか?

近年、研究者や政策立案者の間で
大きな関心を持たれてきたトピックの一つです。

1. 背景と懸念やリスクについて。

まずは「このままだと2050年には世界レベルで食料確保が問題になる」と言われている背景や根拠はこんなものがあります。

◆人口増加

2050年までに、
世界の人口は発展途上国を中心とした人口増加の影響で
97億人に達すると予測されています。
この増加する人口を養うためには、
現在の食料生産量を大幅に増加させる必要がある
~と言われています。

◆気候変動の影響

日本国内でも
今年の夏の異常な暑さや
最近耳にする線状降水帯、
ちょっと前ならゲリラ豪雨、
局所的に雹が降るなど、
気候変動を感じることが増えて来ましたが、
世界レベルでも
さらに深刻かつ過激な変動がニュースになることも
多くなって参りました。

気候変動は
あたりまえながら「農作物の生産」に
影響を及ぼす可能性があります。

例えば、熱波や干ばつ、洪水などの極端な気象条件は、
作物の生産を低下させるリスクがあります。
供給不足から価格高騰にもつながることが予想されます。

水温上昇により、日本近海でも
魚の生息域が北上していたり、
減少しているといった報道も目にします。

◆持続可能性と資源の枯渇

土地、水、エネルギーなどの資源は限られており、
これらの資源を効率的に利用することが求められます。
ただ、都市部には資源集中し、
地方によっては資源不足が深刻化するといった話があります。

また、都市部においても
たとえば「水道管路」をはじめインフラ全体において
「耐用年数に叶ったメンテナンス」が必要なことは想像に難くありませんが、
40年と言われる水道管路の耐用年数が
現状では100年ペースのメンテナンス状況と言われている地域もあり
老朽化をカバーし切れているとは言い難い現状です。
また、少しでも整備を追い付かせて行くためにも
料金高騰は免れないという予測があります。

◆食品ロスと廃棄物

現在、世界の食料の約30%が無駄にされています。
(NEWS PICS 「TRY FIELD2050」より)
※この問題を解決することで、
食料の供給を大幅に増加させることができます。

◆食糧価格の変動

為替レートの問題よりも前に、
世界の食糧価格は不安定であり、
特定の地域や国々での価格の急激な上昇は、
飢餓や社会的不安を引き起こすリスクがあります。

2.解決策:

◆持続可能な農業技術の導入

例えば、
すでに普及している水耕栽培を
より進化発展させる方向や、
精密農業など

「テクノロジー×農業」領域を発展させることで

食料生産の効率を向上させることができます。

もちろん「遺伝子組み換え」など賛否ある技術も
含んでいる領域ですので、
そのまま軽はずみに何でもかんでも導入するわけには行きませんが、
大きな可能性を秘めている領域です。

「フードロス」になっている食料を「堆肥化」して
農業領域へ還元させる といった動きも有効でしょう。

◆食品ロスの削減

食品のロスを減少させるための技術や戦略を採用することで、
食料供給を増加させることができます。

先述したロス分を堆肥化し農業へ還元する前の段階にも打ち手はあります。
・「過剰な在庫」見直し
・「見た目の基準でのロス」をなくす
・「賞味期限の誤解」を解く
※消費者が「賞味期限」と「消費期限」を混同することが多く、
食品がまだ食べられるのに廃棄されることを無くして行く。

など、ロスを出さないためにできる策もたくさんあります。

◆代替食品源の開発

昆虫や海藻、培養肉などの
新しい食料源の開発と普及も既に進められています。

◆政策と投資

適切な政策や投資を行うことで、
持続可能な食料生産と供給を促進することができます。
クラウドファンドなども有効活用できる手段ですね。

◆教育と意識の向上

人々の食糧に関する意識を高めることで、
持続可能な食料生産と消費の促進を図ることができます。

ここまで触れて来ましたように2050年の食料問題は複雑であり、
多くの要因が絡み合っています。

しかし、何よりもまずは私達が現実をしっかり受け止め
向き合ってゆくこと。

意志を持って解決して行くと決めれば
個々の知恵や行動、科学技術の進展を利用した打ち手によって
これらの問題に対する解決策が見えてくるものと確信しております。

やや膨らんだ話になりましたが、
いかがでしたか?

素敵な一週間をおすごしください!

渡辺 誠

例会

幹事報告

2024-25年度 補助金管理セミナーのご案内

拝啓 紅葉の候、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。平素はロータリー財団にご理解、ご支援、ご協力を賜りまして、誠にありがとうございます。
さて、標記セミナーを下記の通り開催いたします。クラブがロータリー財団の補助金プログラムに参加するには、このセミナーに出席し、資格認定を受ける必要があります。
セミナーでは、補助金プログラムの概要、申請方法、事務日程などのご説明と併せて、補助金プロジェクトへの取組みについて情報や意見の交換を行っていただくグループディスカッションを予定しております。
地域と世界をより良く変えるために当補助金の活用をお願いしますと共に、各種補助金プログラムをクラブの活性化と公共イメージ向上に繋げて頂ければ幸いです。
全クラブからのご出席をお待ち申し上げております。              敬具

日  時:2023年12月10日(日)13:30~16:30

場  所:神戸ポートピアホテル 本館地下1階 和楽の間

出席要請:会長エレクト
* 会長エレクトが無理な場合は、クラブが指定する代表者1名がご出席
ください。
* 次年度地区補助金の申請を予定しているクラブにおきましては、
当該申請実務を担当する会員もご出席ください。

登  録: 地区Web管理システムからお願いします。
* 備考欄にクラブ役職をご入力ください。
例:会長エレクト 次年度幹事

登録締切: 2023年11月22日(水)

持 ち 物: 「補助金申請・補助金管理マニュアル2023」
* 2023年11月初旬に全クラブへPDF 版をメールでお送りすると共に、地区ホームページにアップロードいたします。
* PCやタブレット等にダウンロードするか、カラーで印刷してセミナー当日にご持参ください。

例会

卓 話

ポリオ根絶活動:警戒することの価値

粘り強いサーベイランスがポリオ根絶に向けた前進の鍵

アフリカの一部の国は、ポリオ発生のリスクが高いと考えられています。しかし、マラウイでは何年もの間、ポリオの症例が1件もありませんでした。

この国には公衆衛生の充実したインフラがあり、予防接種率も良好です。ポリオによるまひを発症した最後の子どもが確認されたのは1992年のことで、それはアフリカ全体でのポリオフリーが認定される数十年も前のことでした。世界保健機関(WHO)のアフリカ地域ポリオ根絶プログラムのコーディネーターを務めるジャマール・アーメドさんは、「マラウイには、ポリオを知らずに生まれ育った子どもが大勢いる」と話します。それだけに、2022年2月にマラウイの子どもが野生型ポリオの陽性反応を示したときは驚いたとアーメドさんは振り返ります。

数カ月後、ジャネル・ルースさんが米国ニューヨーク州のポリオ検査機関Wadsworth Centerのキルスティン・セント・ジョージさんからのメールを見たときも、同じように驚きとなりました。マンハッタンから約50km北にあるロックランド郡に住むワクチン未接種の男性のポリオ感染が確認されたのです。「衝撃だった」と、米国疾病対策センター(CDC)のウイルス性疾患部門で医務官を務めるルースさんは話します。「米国でまひ性ポリオの症例が出るとは思ってもみませんでした」

では、長い間ポリオがないと考えられていたこれらの国で、どのようにしてポリオが発見されたのでしょうか。また、感染が拡大しなかったことはどのように確認されたのでしょうか。このような疾病を検知する活動は、サーベイランスと呼ばれています。ロータリーは、過去5年間に7,360万ドルの資金を提供してこの活動を支援してきました。世界的なポリオ根絶が近づくにつれ、サーベイランスは、ポリオのない世界を実現する上で極めて重要な役割を果たすことになります。

サーベイランスの基本は比較的シンプルです。「公衆衛生の分野では、探している特定の対象のみに目を向ける」と、世界保健機関(WHO)に17年間勤務し、現在は南アフリカのポリオ根絶コーディネーターであるステラ・アニャンウェさんは話します。「しかし、目に見えないからといって、存在しないということではありません。それがサーベイランスです。情報を収集し、分析し、それを解釈するのです」

さらにもう一点指摘すれば、ポリオ根絶のための調査は決して華やかなものではありません。ポリオのない世界を確実にするための鍵は、排泄物にあるのです。


2021年11月、マラウイの首都リロングウェの貧困地域に住む3歳の少女が右半身のまひ症状を訴えて病院を訪れたとき、臨床医たちはすぐに急性弛緩性まひ(AFP)と診断しました。急性弛緩性まひにはさまざまな原因があり、ポリオはその一つにすぎず、その発症は稀であるため、フォローアップの診断が必要となります。

統計情報

  1. 145

    ポリオネットワークで使用されている研究室

  2. 75

    環境サーベイランスに対応できる研究室

  3. 800

    環境サーベイランスを実施している施設(世界全体)

  4. 7,360万ドル

    2018-22年度にロータリーが投じたサーベイランス用資金

  5. 85%

    環境サーベイランスシステムを有するWHOアフリカ地域内の国

ポリオは人間の排泄物を通じて(稀にくしゃみや咳を通じて)感染します。汚染された食物や水などを介して、口から体内に入ったウイルスは、消化管内で増殖し、糞便中に排泄されます。AFPと診断されると、医師はポリオ検査機関に便を送り、ウイルスの有無を調べます。これはAFPサーベイランスと呼ばれ、ポリオの主症状であるAFPの症例を見つけ、その症例がウイルスによって引き起こされたかどうかをサンプルを通して確認します。

CDC世界予防接種部門の疫学者であるファレル・トボロフスキーさんは、AFPサーベイランスを釣りに例えて説明します。「魚を捕るための網がありますよね。ポリオは網にかかった魚なんです」

マラウイでは、臨床医が女児の便を採取しました。しかし、マラウイで最後にポリオが発症したのは30年前のことであり、ウイルスの存在など頭の片隅にもありませんでした。その年の1月、サンプルは南アフリカにある最も近いポリオの研究所に送られました。

ポリオウイルスが増殖するかどうかを確認するため、研究員はサンプルを細胞培養にかけました。そのウイルスの塩基配列を調べたところ、野生型ポリオ1型であることが判明しました。サンプルはアトランタにあるCDCの専門研究所に送られ、そこで追加検査が行われました。その結果、サンプルの遺伝子配列が2019年10月にパキスタンのシンド州で最後に確認されたウイルス株に関連していることが確認されました。

WHOの実験ネットワーク(Global Polio Laboratory Network)のコーディネーターであるウスマヌ・ディオプさんは、遺伝子は一種の「分子時計」として機能していると説明します。ポリオウイルスは感染すると、1年に約9回の突然変異を起こします。サンプル内の変異の数を数えれば、そのウイルスがどのくらいの期間伝播しているものかが分かるのです。

アーメドさんによると、サンプルの遺伝子配列から、このウイルスはこの地域に輸入されたものであることが判明しました。「このウイルスは、2年以上前からこの地域に伝搬していたことが明らかです」と話します。

サーベイランスの流れ

急性弛緩性まひのサーベイランスは、ポリオ感染者を発見するための絶対的な判断基準で、次の四つのステップで行われます:

  1. 急性弛緩性まひの子どもの発見と報告
  2. 分析のための便サンプルの輸送
  3. 実験室でのポリオウイルスの分離と特定
  4. ウイルス株の起源を特定するためのウイルスのマッピング
出典:世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)

マラウイと同様、米国の医師たちはポリオ発症を予期していませんでした。マラウイで最後に野生型ポリオの感染が起きたのは1979年のことでしたが、2014年になって同じような症状が子どもたちに現れ始めました。「これが50年前であれば、ポリオの症例とみなしたでしょう」とルースさん。「しかし、長いことポリオ無発症の期間が続いていたので、何がこの症状を引き起こしたのか疑問に感じました」。科学者たちは、ポリオウイルスと同じ系統のほかのウイルスがポリオのような病気を引き起こす可能性があることを発見し、EV-D68と呼ばれるウイルスが2014年、2016年、2018年の感染の背後にある可能性が高いことを発見しました。

2022年6月、ニューヨーク州でワクチン未接種の20歳の男性が背中と胃の痛み、首のこわばり、微熱、両足の脱力感を訴えて救急外来を受診したとき、臨床医は急性弛緩性脊髄炎(AFM)と呼ばれるポリオのような病気の可能性を探りました。AFMが表面化する時期である夏が近づいていたため、ニューヨーク州は、突然の筋力低下を伴う患者に注意するよう臨床医への警告を出しました。

AFMを憂慮した医師たちは、この男性の反射神経と脚力の欠如を診て、検査のために便やその他のサンプルを採取しました。驚いたことに、検便の結果はポリオウイルス陽性でした。遺伝子解析の結果、このポリオウイルスは、ロンドンとエルサレムで発生した株に関連した変種ポリオウイルス2型であることが判明しました。この変種ポリオウイルスの集団感染は、世界中の予防接種が十分に行われていない地域で多発しています。

「AFMのサーベイランスシステムを構築するために2014年から行ってきたすべての作業が結実し、長期間を経た後に米国でポリオの症例を検知できたのは驚きでした」とルースさんは話します。

アフリカでは2年前からポリオが伝搬していると考えられたため、WHO、CDC、その他の国際的パートナーは、マラウイで野生型ポリオの症例が確認された数日後に完全な対応態勢に入りました。その第一の目標は、マラウイと近隣のモザンビーク、タンザニア、ザンビア、ジンバブエの3,300万人以上の子どもへの集団予防接種に備えることでした。

同時に、保健当局ではこれら5カ国の医療システム全体でヘルスワーカーを教育し、これらのワーカーは子どもにワクチンを接種するために家々を回りながら、ポリオの症状が出ていないか目を光らせました。このようなサーベイランスの強化により、モザンビークではポリオのまひ症状が出た子どもがさらに8人確認されました。世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)における対応の見直しに参加するため、モザンビークを訪れたアニャングウェさん(南アフリカ、プレトリア・ロータリークラブ会員)は、「このときの混乱はご想像の通りです」と話します。

モザンビークでの感染はすべて同国北西部のテテ州で起きたもので、当局は同州が流行の源であると考えています。「最初にウイルスが流入したのはモザンビークで、マラウイで検出されたのは、そこでのサーベイランスがより敏感であったためと思われる」とディオプさんは説明します。

米国では、2型ポリオの発症が1件でもあれば、それは(軽症や無症状も含め)数千人が感染していることを意味すると想定して、当局が行動を起こしました。CDCは医師向けにウェビナーを開催し、突然の筋力低下への警戒を強めました。ポリオと診断された男性が住んでいたロックランド郡では、推奨されている3回のポリオワクチン接種を受けた2歳児は60パーセントにすぎず、そのうちの一つの区域では37パーセントしか予防接種を受けていませんでした(全米の平均接種率は93%)。

CDCは、流行がいつから始まり、どこまで広がっているのかを把握するため、環境サーベイランスにも注目しました。


ポリオの根絶は間近に迫っており、ポリオに感染して身体まひになる子どもはほとんどいません。しかし、何千もの子どもに無症状の感染が起きています。急性弛緩性まひのサーベイランスによって、まひ症状を特定することは可能ですが、それ以外の場合、症例はどのように見つけるのでしょうか。

そこで糞便サンプルが重要となります。科学者は、まひ症状のある子どもの便を検査するときと同じプロセスで、当該地域の下水サンプルを分析します。この環境監サーベイランスのプロセスは、一人の子どもだけでなく、子どもの集団全体を調査するのに役立ちます。トボロフスキーさんが漁網にたとえたように、環境サーベイランスは下水に含まれるウイルスを探すことで、より広い網を張ることになるのです。

古代ギリシャにさかのぼれば、人びとは汚水(というより、そこから生じる蒸気)が疾病感染の原因であると非難しました。排水そのものが原因であるという考えは、19世紀半ばのイギリスにさかのぼります。1928年に腸チフスが排水から検出され、1939年までには、ポリオウイルスの検知のために排水が使えると科学者たちは判断しました。

GPEIは2000年、ポリオがまだ流行していたエジプトで、下水サンプルからポリオウイルスを探し始めました。この取り組みは、エジプトにおける野生型ポリオウイルスの根絶に貢献し、これをきっかけにGPEIは、2009年から他のポリオ常在国でも環境サーベイランスを開始しました。その後、環境サーベイランスの対象国はさらに拡大されました。また、GPEI以外の国々でも、独自の廃水のサーベイランスが実施されています。ディオプさんによると、環境サーベイランスは世界の約800カ所で実施されています。

下水道が整備されている国では、保健当局が処理場に向かう途中の未処理の下水をサンプルとして採取します。しかし、ポリオのリスクが最も高い地域は衛生状態が悪いことが多く、そのような場合、保健当局はサンプルを採取する場所を正確に決定するために、社会経済環境が未発達な場所、移住者や人口移動が多い場所、ポリオやその他の病気の発生歴がある場所など、ほかの兆候を示す指標を探します。

そのような判断が必要となった場合、保健所の職員は、国勢調査の統計や衛星写真、地形図を参照し、汚水が高いところから低いところまで流れている場所を特定します。「通常、適切とされる場所は流れの良い場所であり、淀んだ場所ではない」とアーメドさん。「多くの人がトイレを使用する時間帯を想定して、朝に採取するようにしています」。

通常、ポリオワーカーたちが立ち入ることのできない地域では、下水処理担当職員が地域社会との信頼関係を築く傾向にあります。ディオプさんが説明するように、誰だって自分の家の前に汚水が流れ込むのは嫌なものです。下水処理担当職員は通常、地域住民からの協力を得て、必要なサンプルを手に入れることができます。

マラウイでのポリオ症例が確認された2022年2月、同国はGPEIの環境サーベイランス拡大リストに掲載されており、チームはすでに予備調査を開始していました。「症例が確認された直後から、2、3人のサーベイランス担当者が町から町へと回り、適切なサンプル収集場所を評価しました」とアーメドさん。「リロングウェのある場所から最初の環境サーベイランスサンプルを採取したのは、アウトブレイクの宣言から4日以内だっと思います。1カ月も経たないうちに、マラウイ全土で8、9カ所の収集場所ができました」。現在までに、マラウイから野生型ポリオウイルス陽性のサンプルは出ていません。

環境サーベイランスは、感染発生の源であるモザンビークのテテ州を含む周辺諸国でも強化されました。しかし、テテ州では、保健担当者が質の高い環境サーベイランスの実施場所を見つけるのに苦労し、排水から野生型ポリオウイルスを検出することができませんでした。「AFPのサーベイランスシステムが最も役に立った」とアーメドさんは振り返ります。

ひとたび陽性サンプルが特定されれば、有益な情報が得られます。例として、ボツワナでは昨年、環境サンプリングによって変種ポリオウイルス2型が特定され、当局は2回の予防接種を実施し、まひ症状を引き起こす前に感染を食い止めることができました。とはいえ、陰性サンプルは陽性サンプルほど確定的なものではありません。陰性の結果は、疾病が存在しないことを意味することもありますが、サンプルの質が悪かったり、単に間違った日に採取された可能性もあります。サンプルは一部を採取したものに過ぎない、とディオプさんは主張します。「価値はありますが、すべてのポリオウイルスを検出できる万能策ではありません。環境サーベイランスは、絶対的な基準であるAFPサーベイランスを補完するものでしかないのです」


米国では、保健当局が変種ポリオウィルスの蔓延の程度を測定するために排水サンプルの採取にも目を向け、新型コロナの流行以降は、この作業の負担は軽減されています。

新型コロナウイルスが排水から追跡可能であることが研究で証明された後、CDCは急増する感染を検出するために、2020年に国レベルの排水サーベイランスシステムを設置しました。2023年6月現在、全米で1,400以上の施設がコロナウイルスの排水サーベイランスを行っており、これは米国民の40%による排水に相当します。各施設は定期的にデータを収集し、CDCに提出しています。

研究者たちは、保健当局がニューヨークのポリオ症例を特定後、新型コロナウイルスのサーベイランスのために集められたこれらのサンプルを基に、過去にさかのぼって検査を試みました。「ニューヨーク州は新型コロナウイルスを検査し、検体を保管していました。「棚から検体を取り出して、さかのぼって検査することができました。ポリオでまひを発症した男性は6月に衰弱したため、当局が5月と4月にロックランド郡と近隣の郡で採取された検体を調べたところ、ポリオウイルス陽性のものがありました。これは、患者が病院に到着する数週間前からウイルスが蔓延していたことを示すもので、マラウイでの検出と同様に、ワクチン未接種の子どもへのポリオワクチン接種を強化し、ポリオの症状への警戒を強めるきっかけとなりました。

保健当局はその後、ニューヨーク市(患者が住む町の人びとがよく訪れる場所)、近隣の郡、隣接するコネチカット州とニュージャージー州の似たような人口の場所を探し、捜索範囲を広げました。これらの2州では陽性サンプルはありませんでしたが、2022年10月まで、ニューヨークの下水サンプルからは常にポリオが検出されました。その後、検出数は急減し(ポリオは統計上、温帯気候では夏に流行)、2月下旬以降に陽性となった下水サンプルはありません。CDCはその後、ワクチン接種率の低い他州の一部の地域にも検査を拡大する計画を立てました。

「本当によかった」とルースさんは話します。「夏に向けて排水中でポリオウイルスが増えるかもしれない、あるいは、流行が続いているほかの郡からポリオウイルスが入って来るかもしれないと、私たちは神経質になっていました。今後、何も起こらないことを願っています」

アーメドさんもまた、アフリカで発生した野生型ポリオが収束したかどうかを見守っています。「ポリオは非常に厄介なウイルスです。発見されないまま、長期にわたって伝搬する可能性があります。私たちは常に、適切なサーベイランスと時間の組み合わせが必要だと言っています」

研究者たちは、感染率が非常に低くても下水サンプルからポリオを検出できるよう、検査の精度を上げる努力をしています。漁網の網目を非常に細かくして、ウイルスがすり抜けられないようにするのです。「ポリオウイルスを見逃さないよう、ポリオフリーの認定後も重要となるでしょう」とディオプさんは話します。

リスクの高い地域での継続的な検査も重要です。ひとたび陰性となったとしても、その日はたまたま陰性だったということもありうるからです。検査が常に陰性であれば、ポリオが本当になくなったという確信も高まります。

新型コロナウイルスのサーベイランスでは、30年の実績があるGPEIの研究室ネットワーク(人材とインフラの両方)が極めて重要であることが証明されました。ポリオ研究室ネットワークの専門家たちは、コロナウイルスを検査するための国内プロセスの確立を支援し、スタッフはコロナウイルスの検出作業に協力しました。「私たちにはスキルがあります。コロナ禍でインフラが拡充され、シークエンシング(塩基配列の特定)のノウハウを有する人が増えたという恩恵もあります。研究室のネットワークは、アフリカの公衆衛生にとってあらゆる面で有益なものです」

世界中に広がるこの排水サーベイランスのネットワークは、将来的に大きな可能性を秘めています。「用途は無限」とルースさんは言います。「私はインフルエンザへの応用に関心があります。アメリカのインフルエンザの流行時期を予測し、より迅速にワクチンを適用できるかもしれません」。2022年、米国の研究者たちは、以前はサル痘として知られていたmpoxウイルスの感染を追跡するために下水の調査を行いました。下水は、オピオイドの使用状況のモニタリング、地域社会の肥満率の予測、薬剤耐性結核菌のサーベイランスなどあらゆることに利用でき、これによってより迅速な対応が可能になります。

ポリオ根絶の未来はサーベイランスにかかっています。排水を利用した疫学調査はモニタリングの重要な手段となり、将来にほかの公衆衛生問題に取り組む際にも、極めて重要な役割を果たすことになるかもしれません。つまり、ロータリーがこれまで行ってきたサーベイランスへの投資は、今後何年にもわたって実を結び続けることになるのです。

本稿は『Rotary』誌(2023年10月号)の記事を翻訳したものです。

この卓話は、 MyROTARY に掲載された記事の引用です。ぜひこちらから全文をご覧ください

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